香水の情報源は「香りの変態」!?
香水にかなり詳しいSIRUPさん。香りの情報はどこから仕入れていますか?
友人に「香りの変態」がいるんです(笑)。調香師になろうとしてたぐらい香りマニアなんですけど、その友人から香水の歴史だったり、つくり手のエピソードとかを聞けるので、そこで新しい香りを知ることが多いです。僕もその話を聞く時間がすごく好きなんですよ。ある香水の香りを「野獣が花束を持って現れた」とか独自の表現で伝えてくれたり、彼が読んだ本の一節で「夏の夜の雨の日の中国貴婦人が大理石の敷き詰められた部屋にいる」みたいなのがあるとか、そういった面白い香水の表現をたくさん教えてくれたりするのがすごく面白くて。その言葉に興味を持って実際に嗅いでみるってことが多いです。
SIRUPが考える「音楽と香りの共通点」
音楽と香りに共通する部分は感じますか?
実はその「言葉で表現することの面白さ」って部分が、僕にとっては大きな共通点だと感じています。たとえば楽曲制作するときも、僕が出したい音を周囲の人に言語化して伝えなきゃいけない場面があるんです。「こういうニュアンスで歪ませて」とか「ぎゅぎゅっと詰めてから解放して」とか…。香水づくりの裏にあるコンセプト設計やストーリーに初めて触れたとき「音楽制作の時にやってることと同じや!」って衝撃でした。
ライブでつける香水は「演出の一部」
香水を買うようになったのはいつ頃から?
本格的に香水をつけ始めたのは、メジャーデビューしてからですよ。香水って高いものだから、生活の予算が上がって、やっと買えた(笑)。ライブで人前に立つようになって、当時は小さいライブハウスを多く回ってたから、お客さんとの距離が近い。前の方にいてくれるお客さんに香りが届くように、ちょっと多めに香水をつけるのがライブ前のルーティンでした。
自分の好みで選ぶというより、“演出の一部”という意識がありましたね。「自分のイメージはシックだからこういう香りかな?」とか。
季節にも合わせて、夏はDiptyqueのスパイシー系にしたり、冬はJO MALONE LONDONのフレッシュなものに、たまにバニラ系の重ためな香りを軽く重ねたりして変化を楽しんでました。
大学時代の服と部屋は、GONESH「No.8」の香り
ちなみに、SIRUPさんが初めて「香り」を意識しはじめたのはいつ頃?
たぶん中学生になっていい香りのワックスを使い始めたときですね。髪型と香りが同時に良くなったと思います(笑)。とはいえお金がないから中高時代は整髪料や制汗剤の香りを選ぶくらい。大学に入ってからは古着屋によく行ってたこともあって、お香にハマりました。自分の部屋でもGONESHの「No.8」を焚いて、服に香りをまとわせてました。
SIRUPにとっての「香り」とは
いま、ライブ以外のシーンではどんな香りを使っていますか?
気分の波がある人間なんで、自分をその日のシチュエーションにフィットさせるために香りをつける、ってことが多いです。ジャケットを着るような仕事のときは高級感のある香りをつけたり、服を買いに行くときはアパレルブランドが出している香水を使ったり。香りに日々の気持ちづくりをサポートしてもらってます。
最後に、SIRUPさんにとって、香りとは?
「色んな自分を選べるツール」ですね!
ラップと歌を自由に行き来するボーカルスタイルと、自身のルーツであるネオソウルやR&BにゴスペルとHIPHOPを融合した、ジャンルにとらわれず洗練されたサウンドで、誰もがFEEL GOODとなれる音楽を発信している。 2021年には2nd フルアルバム「cure」をリリースし、同年「FUJI ROCK FESTIVALʼ21」に、国内のR&Bアーティストでは異例となる初出演でメインステージ GREENSTAGEに立ち、圧巻のパフォーマンスを魅せた。 これまでにイギリス・韓国・オーストラリア・台湾などのアーティストとのコラボ曲をリリースしている他、アイリッシュ・ウイスキー「JAMESON」、オーディオブランド「BOSE」、自動車メーカー「MINI」とのタイアップ、2022年には自身初となる日本武道館公演を開催するなど、日本を代表するR&Bシンガーとして音楽のみならず様々な分野でその活躍を広げている。